読みものBlog — 2026.07.22 ・ 町と水とコーヒー

酒蔵の町・瑞浪と 「仕込み水」。

日本酒を生む「仕込み水」と、コーヒーを淹れる水。300年以上、人が集まってきた蔵の隣で一杯を淹れるということ。この土地の水のことを綴ります。

酒蔵の町・瑞浪

岐阜県瑞浪市は、古くから醸造の営みが暮らしの近くにある町です。私たち Comet Coffee(コメットコーヒー)が敷地を構える中島醸造も、1702年(元禄)創業、300年以上にわたって日本酒を醸してきた蔵です。「小左衛門」「始禄」といった銘柄は、この土地の風土と水から生まれてきました。

蔵のまわりには、酒を受け取りに来る人、働く人、ご神木に手を合わせる人——300年ぶんの人の行き交いが積み重なっています。その「人が集まってきた場所」の空気のなかに、私たちのコーヒースタンドはあります。

日本酒と「仕込み水」

日本酒の味わいを決める大きな要素のひとつが、「仕込み水」です。酒の成分の多くは水であり、どんな水で仕込むかによって、酒の質や風合いは大きく変わります。だからこそ酒蔵は、その土地の水を大切にし、水の個性と向き合いながら酒を醸してきました。

水と、時間と、微生物。日本酒づくりは、この土地の水の物語でもあります。

水と、コーヒーと

コーヒーもまた、一杯のほとんどが水でできています。豆の個性を引き出すのは、湯温や挽き方だけでなく、その水そのもの。水と向き合うという一点で、日本酒づくりとコーヒーの抽出は、静かに響き合っています。

酒蔵が仕込み水と向き合ってきたように、私たちも同じ町で、水と豆に向き合いながら一杯を淹れる。この土地の水で淹れた一杯が、ここで過ごす時間の余韻になっていきます。

蔵の隣でコーヒーを淹れるということ

酒づくりも、抽出という手しごとも、「待つこと」と「向き合うこと」の繰り返しです。観光地のにぎわいとは少し違う、静かな佇まいのなかで、ふと一杯を求めて立ち寄り、気づけば誰かと言葉を交わしている。蔵の隣でコーヒーを淹れる私たちが目指すのは、人が集う場所で、やわらかな余韻を手渡すことです。

※ 本文中の醸造・酒づくりへの言及は、この町の文化とお店のある場所を伝えるための表現です。特定の健康上の効果・効能を示すものではありません。