読みものBlog — 2026.09.16 ・ 瑞浪の山のもの
瑞浪の山のもので、 一杯をつくる。
グラスに一本、木の枝が添えてあります。クロモジ(黒文字)という、瑞浪の山に自生する木です。この土地の山のもので一杯をつくる、その話を綴ります。
この枝、なんだと思いますか
ドリンクに添えている細い枝を、お客さまがよく見ていかれます。クロモジ(黒文字)といって、瑞浪の山に自生している木です。枝を折ると、ヒノキとスパイスが混ざったような、深い香りが立ちます。
名前に心あたりのある方もいるかもしれません。お茶席で使われる高級なようじは、この木からつくられます。和菓子に添えられる、あの白い木のようじです。香りがよく、水に強い。だから昔から、口に入るもののそばで使われてきました。
ゆずと、炭酸と、山の香り
クロモジを添えているのは、瑞浪ゆずスカッシュです。ゆずピールの明るい酸味に、炭酸の清涼感。そこへ瑞浪産のクロモジの香りが重なります。飲む前に、鼻先で香りが立つ。口に入る前から始まっている一杯です。
クロモジの主な香り成分はリナロールといって、ラベンダーなどにも含まれるものと同じ系統です。柑橘とも、木の香りとも違う。そのあいだにある匂いが、ゆずの酸味とよく合います。
コーヒーではありませんが、これも 岐阜・瑞浪の酒蔵カフェ でお出ししている一杯です。運転される方、お酒を飲まない方、お子さまと一緒の方にも。ノンアルコールで、この土地らしさのある飲みものを、と思ってつくりました。
なぜ、わざわざ山のものを使うのか
comet coffee のある場所は、1702年創業の酒蔵・中島醸造の敷地です。この蔵は何百年も、この土地の水と向き合って酒を醸してきました。コーヒーも、その仕込み水で淹れています。
水がそうであるように、香りもまた、この土地にあるものです。瑞浪の山に生えている木の香りを、そのまま一杯にのせる。遠くから取り寄せたものではなく、歩いて行ける山にあるもので一杯をつくれるなら、そのほうが面白い。瑞浪駅から車5分のカフェとして、この町でしか飲めないものを増やしていきたいと思っています。
香りは、ぜひ実際に
香りの話は、文字にするとどうしても物足りません。ヒノキのような、スパイスのような、と書いてはみても、実際に鼻先に持っていったときの感じには届かない。
店では、コーヒーも香りから選んでいただけるように、小さなアロマディスプレイを置いています。豆によって香りはまったく違うので、メニューの文字だけでは選びにくいからです。クロモジの枝も同じで、まずは嗅いでみてください。ケーキや焼き菓子と合わせて、中庭のベンチでゆっくりどうぞ。
※ クロモジの香りや成分についての記述は、この木がどういうものかを説明するためのものです。特定の健康上の効果・効能を示すものではありません。
※ 瑞浪ゆずスカッシュはシーズナルのドリンクです。提供している時期は Instagram(@comet_coffee_) でご確認ください。